カヌー 那珂川から海へ
昨日の午後、診療が終わってから泊まりがけでカヌーをしてきました。僕は毎年1~2度カヌーを楽しんでいます。海は房総富浦のソルティーズ・パドル・スポーツで。ここは海がとっても綺麗で、そして何よりシーカヤックの師匠、山本勉さんが最高の男なのです。独りでアイルランドをシーカヤックで一周してきた男です。アイルランドを選んだわけは「止まる港、港にパブがあり、そこでは上手いギネスが飲めるだろう」と言う理由で!!
僕のリバーカヤックは鬼怒川でのラフティングやダッキーもありますが、なんと言っても那珂川下りがメイン。小学校からのつきあいで、同じく真岡髙校山岳部を一緒に過ごした友人のN君との「海まで那珂川を下る」という目標があるのです。最初は黒羽町からのスタートでした。黒羽~烏山、烏山~茨城県桂村、そして今回は桂村~水戸、そこで一泊して水戸~海まで。
ここまで5年かかりました。お互いの休みの調節が難しいのと、やっと決めた予定日の天候不良などで、やっと今年決着がつけられそうです。
昨日の一日目は何とも苦難のリバーカヤックでした。下流ともなると流れが無いのです。漕がないと進まない。まして、風は心地良く南風。南風と言うことは向かい風で進まない。流れがあれば時々漕ぐくらいで流れに任せて時速6㎞ぐらい。風のない湖だと、だいたい漕ぐと時速4㎞です。今回の状況だと、一生懸命漕いで時速3キロ。そんなパワーはないので実際はちゃんと漕ぎ続けて時速2キロ行くかなと言うところ。もう肩が痛くて痛くて力が出ないので休憩を入れていては2㎞も行かない。風と、多分満ち潮の影響でしょう、浮いているゴミも上流に昇っていく状況です。漕いでも漕いでも思うように進めない。困難を極めました。まるで部活です。厳しい!
常磐道を抜け、6時にやっと国田大橋に到着。そこで携帯から電話をしてタクシーを呼びます。「今、国田大橋のたもと、え~と水戸を背にして右岸にいます。迎えに来て下さい」「え?」「男二人で立ってますから」「え??」
Nくんは「テントにしよう」と言っていたのですが、僕は「濡れた身体をお風呂で温めたいし、シャワーで汗を流したいし、街で美味しいもの食べたい」と強く希望したので、ホテルに泊まることになりました。
そして本日は9時発で下り始めます。なんと、昨日よりも水位が80㎝程下がっている。引き潮です。引かれるので漕ぐのも楽です。水戸では群れになって泳いでいる人たちを発見!15~20人のグループが4組泳いでいます。学生かと思ったら、なんと皆大人。それを取り囲むように支援のボートとカメラ。訊いてみると水戸藩直伝“古式泳法”による那珂川下りだとか。勿論引き潮の時でなくては出来ないと言っていました。
ひたちなかに入ると今度は自衛隊の演習が。始めは何かと思いましたよ。鉄兜をかぶった人たちが、何隻もの鉄で出来たようなボートを号令かけて櫂で漕いでやってくるのですから。どちらによけて良いものやら。しかし何事。川でぼんやりして、世間と離れているうちに日本国に有事ありか?
6号の走る水戸大橋あたりまでは楽しかったです。しかしお昼を過ぎるとまた潮が満ち始めます。風も強くなってきます。またゴミが遡る現象が始まります。そこから、常磐線の鉄橋を越え、勝田橋を越え・・・ここからがまた部活です。苦行です。全然楽しくない、と言うよりもうリタイヤしたい。肩は限界で、もう漕ぐ力はない。次の目標が東水戸道路の高速の橋なのですが、行けども行けども見えない。やっと見えても全然たどり着かない。その遠いこと。
自分を励ますために好きな歌を思いつくままに大声で歌っているのですが、始めは陽気に“フニクリフニクラ”(鬼のパンツのあの唄ね)なんて歌っていたのですが、アホらしくなり好きなロックで応援歌にし始めます。が、ロックは息が切れるので、そののちもっと歌いやすいフォークソングになります。僕は古い歌が大好きなので、すると岡林の“私たちの望むものは”“山谷ブルース”山崎ハコの“飛びます”(歌詞:いいんです、報われなくとも。願いは叶わなくとも・・・)“YOKOHAMA(雨に濡れた難破船。いつまで経っても動かない・・・何もかもびしょぬれでとても綺麗だ)”ずっと先に独りで行ってしまったN君を恨むように“サヨナラの鐘(グッバイ貴方、私先を越されたわ。グッバイ貴方、サヨナラと鳴り響くわ。グッバイ貴方小さな声でおめでとう)”などなど、ド~ンとディープで重く暗い唄になってゆくテンション。
やっと高速の橋を越えてのその先がまた長いこと。そのうえ、ジェットホイル?あのスノーモービルの水上版の奴ね、アレがこのあたりから河口までバンバン海賊のように荒らしまくって、おかげで波が立つし(この横波が何よりリバーカヤックにとっては沈没する可能性があるので怖い)それを引率するモーターボートの波はその上を行く荒さで気が気じゃない。河口に近づくにつれマリーナがあるのでその数はどんどん増えて行く。彼女を乗せてキャアーキャアー言わせている奴ら、まるで暴走族です。怒りのパワーでこの場を切り抜けるために必死で漕ぎます。
ここまでもう本当にダメだと思っていましたから、(リタイヤ気分でした)245号線の赤い橋が見えたときは唄が出てきました。“は~るばる来たぜ函館~、逆巻く波を乗り越えて~”気分はすっかり演歌!!だってあの橋を越えたら海まであと2㎞。あと40分頑張れば海。もう、手にはマメが出来て痛くって、肩はパンパンに張りもう限界なんだけれど、もう終わりに出来る、もう卒業できると思うと力が出ます。
その先にもうひとつ赤い橋が見えました。那珂湊と大洗を繋ぐ海門橋です。これを越えたら海までは350㍍。残りの力を全身から振り絞って漕ぐ漕ぐ。ずっと先に海の波が見える。やった。もうすぐゴールだ。長かった。終われる。卒業です。2:30。我々は那珂川を下って海まで出ました。
乾杯!!!
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コメント
お疲れ様でした。
私の知り合いも満潮の逆流に途中棄権をしたそうで
完走はすごいです。
私はカナディアンカヌーの大きめなのを一人で
漕いでますので逆風逆流の辛さはよくわかります。
頑張ってください。
投稿: トンボ | 2008年7月22日 (火) 21時50分
那珂川下り制覇!おめでとうございます!男のロマンを感じますね。地図を広げながら読ませて頂くと、豊かな表現にその時々の情景が目に浮かび、自分も同行しているかのような気分に浸れて楽しませて頂きました。いつか本にしてください。今の若者には失われつつあるロマンではないでしょうか?
投稿: 千葉のEより | 2008年7月26日 (土) 00時47分